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Seven Years Of War(セブンイヤーズオブウォー)


ジャンル:FPS
機種:PC
発売年:2008年
開発会社:CRAZY BOX

2009年9月10日をもってSOWはサービスを終了しました
サービス終了の理由は下の方で考察しています。


レビュー脱稿日2008年11月 最終更新日2011年3月

紹介

『Seven Years Of War(セブンイヤーズオブウォー)』(以下『SOW』)は韓国のCRAZY BOXという会社が開発、日本ではCJインターネットジャパンが運営をしているオンラインFPS。
ほかのオンラインFPSと比べて高品質のグラフィックやサウンド、兵科ごとに異なるプレイスタイルを生かした占領戦が特徴である。

もちろん基本的なモードであるデスマッチもあるが、『SOW』のメインはあくまでも占領戦である。
占領戦はのルールは、ある場所(ゲーム中ではタクティカルポイントという)を一定時間占拠し続けることで勝利になるというもの。
相手に一旦占拠されても、こちらが一定時間待機すれば奪い返すことができる。
したがって2チームが一カ所のタクティカルポイントをかけて熾烈な争いを繰り広げる。
このルールの他に独特のシステムが取り入れられているので、新規プレイヤーにはちょっと難しいかもしれない。
詳しいルールやシステムはWikiで補ってほしい。
マップロード中の画像
占領戦の様子
まずプレイヤーはゲーム開始時に三つの兵科から自分がやりたいものを選ぶ。
ゲーム中は戦況に応じて兵科を自由に変えられるので、チーム状態をもとに臨機応変に立ち回ることができる。
三つの兵科とは、近距離戦闘向きの「アサルト」、遠距離戦闘向けの「ライフル」、仲間を回復することもできる「サポート」のこと。
それぞれに得意な戦闘距離や役割が決まっているので、プレイヤーは自分の役割をしっかりと頭の中に入れた上で行動することが大事になってくる。
あとは前述したようにタクティカルポイントを一定時間占拠することが出来たチームが勝利する。

タクティカルポイントは一つしかないので、二つのチームが一つの場所を奪うために正面から激突することになる。
したがって真っ正面からぶつかり合う派手な戦いがずっと続くのである。
アサルトは敵の攻撃を一定量防ぐことの出来る盾を持っているのでタクティカルポイントに突撃し、ライフルは遠距離から敵を排除、サポートは回復とグレネードランチャーによる攻撃で味方を支援する。
マップのあちこちに戦力が分散することなく一カ所に固まるために、集団で戦闘しているという感覚が非常に強い。
敵にやられた時の声、グレネードを投げるときの声などがひっきりなしに鳴り響き、仲間の大切さや一体感をよりいっそう引き立ててくれる。
倒した敵も一定時間すればまた復活してくるので敵を倒せば安心と言うことはなく、常に緊張しっぱなしである。
タクティカルポイントをのぞむ画像
これがタクティカルポイント
また、マップによっては敵の裏をつくルートも存在するが、かなり遠回りになってしまうので使いどころが非常に限られてくる。
兵科選択や進行ルートの選択はそのときの戦況によって変えればより効果的になるという点で、『SOW』において戦況を読むことが非常に重要な要素である。
たとえば自分のチームがタクティカルポイントを占領しているときと相手に占領されているときでは適切な立ち回りが変わってくる。
自分たちが占領していれば待ち伏せは非常に有効となるが、逆に占領されているときでは待ち伏せよりも突撃が有効な攻撃手段になってくる。
このような熱い戦いを楽しむことができるのが『SOW』である。

武器はゲーム開始時に配布されるポイントで買い、買った武器は戦闘を経過するごとに耐久力が落ちていくのでポイントを使って修理するスタイル。
ポイントは戦闘終了後に成績に応じて配布されるが、成績上位ではないと修理ポイントの方が多くなるので確実に赤字になる。
ただまあ1000円ほどの課金アイテムを買えばポイントがかなり支給されるので懐にはやさしい方だと思う。
問題があるとすれば、占領時間を早くする課金アイテムの存在。
FPSにおいてゲームバランスを大きく変えるアイテムは課金にするべきではないと思う。(多少変わるぐらいなら全く問題ではない)
そんなものは最初から導入しないことが望ましいのだが、オンラインFPSは採算が厳しいらしいのである程度の課金アイテムは諦めた方がいいかもしれない。
スコープを利用しての攻撃をする画像
有利な位置をとろう

レビュー

コツさえつかめれば熱い! が、人がいない

わかりにくいルール

まず、占領戦のルールがわかりにくい。
わかってしまえば何のことはないのだが、公式ウェブサイトや有志によるWikiで詳細な説明があったり、ゲーム内で初心者用のルールを覚えるためのマップが実装されていることからもなんとなくわかるだろう。

それに占領戦は一人で戦局をどうにかすることはかなり難しい。
自分が一人で気を吐いたとしても仲間が足を引っ張っていれば負けてしまうし、逆に自分が頼りなかったらチームを確実に負けへ導いてしまう。
これがデスマッチのときは、自分のみを守ることだけ考えてキャンプしたりすればほかのプレイヤーからは白い目で見られるものの、自分の中ではそれなりに楽しめるだろう。
ところが占領戦の場合は自分たちのチームが負けているとき、自軍のリスポーン地点付近へ押し込まれてきつい戦いへと変貌する。
要するに前へ行こうとしてもあちこちに敵が待ち構えており、俗に言う詰み(お手上げ状態)になってしまうのだ。
紹介で話していた「熱い戦い」は両チームが拮抗しているときこそ起こるものである。
かなり敗戦の色が強いゲームをやっていては誰もが面白くない。

占領戦のシステムは負けチームのつまらなさを助長しているのだ。
しかもこの手のゲームでは、プレイヤーシャッフル機能を追加するなどのチーム均等化システムがとられているのが普通であるが、『SOW』には実装されていない。
飛び跳ねる敵との交戦画像
戦闘の様子

シーソーゲーム

とはいえ二つのチームの戦力差がほとんど変わらなくて味方の敵もゲームになれた人ばかりだと非常に熱いゲームを楽しめることは間違いない。
一点に集中した戦力が正面からぶつかり合うときは両者ともに死者が多くなるために、ほかのルール(デスマッチなど)では突撃が敬遠されがちである。
しかし占領戦では敵を倒そうが倒されようが大きなペナルティや利点はないので存分に突撃することができる。

プレイヤーがやられても趨勢が片方のチームへと傾くくらいで、もういちど復活したときにやりかえれば趨勢は簡単にひっくり返る。
つまり『SOW』は戦局がどちらかのチームへとコロコロ変わりやすいシーソーゲームというわけである。
どちらかと言うとFPSになれた人にとってウケが良いように思う。
各兵科の分業や戦局を読む必要性はゲームになれていないとわかりにくいし、ほかのゲームではあまりみられないシステムには新鮮味がある。

撃たれて画面が紅くなっている画像
撃たれると画面に血がつく

バランスや音質はいい

また、マップや兵科ごとのバランスはなかなか良い。
狭くてルート選択の余地が少ないのは少し問題だが、片方のチームが一方的に有利になるようなマップはない。
兵科は役割分担が完全に分けられているし、マップもそれを反映したものに作られている。

それと音のクオリティは非常に高い。
私はヘッドホンを利用した環境でゲームをしているので、『SOW』のしっかりとした音の方向や距離感はゲームプレイの臨場感を大いに高めてくれる。
そしてロビーで鳴っている音楽や試合終了時の効果音などはオンラインFPSの中でもかっこよさではナンバーワンだと思う。
常に聴き続ける音楽だからこそ質が高いものを聞きたいものだ。

ガジェット情報。マイナーな武器がけっこう多い
使用できる銃は実銃と同じ名前、そして最新のがそろっている

総評

『SOW』独特の面白さはほかのオンラインFPSにはないものなので、肌に合う人たちには根強い人気がある。
ただ占領戦のルールやコツはFPSになれていないと結構戸惑う。
面白さを理解する前にやめてしまう人が多いのではないかと思う。
また動作環境が『サドンアタック』、『スペシャルフォース』、『クロスファイア』なんかと比べて少し高いこともあってか、休日の夕方でもプレイヤー数は500人いくかいかないかという水準は物足りない。
言い方を変えると、いつも同じプレイヤーと顔を合わせることになりがちで、どうしてもマンネリ感がでてくる。
アップデートも頻繁にはされていないので『SOW』だけをやっていると飽きてくるのではないだろうか。

あとこれは個人の感覚によるのかもしれないが、キャラクターがカクカクしていることと相打ちがあることは自分にとっては大きな問題点である。
特に左右移動を繰り返すと人によっては飛び飛びに移動しているような状態になり、非常に攻撃を当てずらい。
そして、このゲームには相打ちがある。
倒したと思った相手から後で殺されたり、逆に殺されたと思ったら殺していたと言うことが頻発する。
何が起きているのかわからないが非常に抵抗感がある。
SOWとハーフライフ2の画像比較。そっくり。ということはパクリ
左がSOWの映像 右がハーフライフ2の映像
にている・・・・よね?

まとめ

ひと味違ったオンラインFPSをやりたいのならぜひともやって欲しい。
システムが独特なので人を選ぶとは思うが、はまったときは手に汗握る展開になり非常に面白い。
グラフィックやサウンドにも力が入っているのである程度のスペックを持ったパソコンを用意しないといけないことはオンラインFPSにとっては厳しいところかもしれない。
チームと一体化した迫力のある戦闘を味わえるSOWは、かなり完成度が高いFPSであるといえる。
だが人がいない上に残った人たちのスキルはかなり高くなっており、初心者向きではない。

53点

サービス終了の理由は何か

『SOW』は2009年9月にサービスを停止する予定だ。(執筆時点ではまだ終了していない)
2008年4月にオープンベータテスト開始、同年10月に正式サービス開始なので、わずか一年もたずにサービスは終了することになった。
こういったオンラインゲームとしても非常に息が短く、収益がかなり悪かったものと予想される。
収益が悪いことと人が集まらないことはほぼ同等の意味を持つので、今回はなぜ人が集まらなかったのかを考えてみる。

まず、『SOW』のゲームシステムは割とややこしかったため、FPSに慣れていない初心者がベータテスト時に見限ったことが挙げられる。
オンラインFPSは比較的同じようなゲームが多く、チュートリアル等も充実しているため、初心者でも問題なく新規ゲームに入ることができる。
しかし紹介やレビューで触れているように、SOWのシステムは少し複雑で面白さが分かりにくいという難点がある。
他のFPSの中をやり慣れた人ほど『SOW』の面白さは理解できるが、『SOW』がサービスを開始した時点では日本のFPS人口はそれほど多くなかったのである。
(それを裏付けるデータとして、同じオンラインFPSであるサドンアタックの最大同時接続人数は2009年に記録されている)

さらに最悪なことに、アップデートやイベントが全然行われなかったことも過疎化に拍車をかけた。
ベータテストから終了の一年半で行われたアップデートは、たったの二回である。
考察を書くために一年近く間を空けて再度『SOW』をやったのだが、殆ど変わっていないのには驚きを隠せなかった。
人が少ないから開発費が不足し、開発費が不足するからイベントなどを起こせなくて人が減るというスパイラルに陥ってしまっていたのである。
そして人数が少ないので課金額は非常に高いものとなっていた。
また聞くとことろによると、チートやバグの放置も酷かったとかなんとか。

『SOW』はゲーム自体に人を呼び込むための魅力に欠け、運営はゲームを盛り上げるための措置をとらなかったといえるだろう。
さらに言うと、ベータテスト時は極端な初心者狩りがちらほら見られた。
ゲームの出来、運営の質、プレイヤーの質はオンラインゲームにおいて重要な三つの柱である。
このうちどれかが崩れると評価が大きく下がりやすい。
『SOW』は三つともダメであったので、わずか一年でサービスが終了することとなったのだ。

あたらしいマップ
新しく追加されたマップ・ルールがひとつのみとはさみしい

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